外注費を支払うときの源泉徴収|消費税込み・税抜きどちらで計算?請求書の確認ポイントも解説

フリーランスや個人事業主に仕事を依頼したとき、請求書を見て、

「源泉所得税は消費税込みで計算するの?」 「消費税を除いた金額から計算していいの?」 「請求書に書かれている源泉所得税の金額は正しいの?」

と迷ったことはありませんか?

特に、ライター、デザイナー、カメラマン、士業などへの外注が増えると、源泉徴収は会社や個人事業主にとって身近な経理処理になります。

結論からいうと、源泉徴収の対象となる報酬は、原則として消費税等を含めた金額が源泉徴収の対象です。

ただし、請求書などで報酬額と消費税額が明確に区分されている場合は、消費税額を除いた報酬額を基準として源泉徴収することができます。

さらに注意したいのが、請求書に記載された源泉所得税額を、そのまま使えばよいとは限らないという点です。

源泉徴収の義務を負うのは、報酬を支払う側だからです。

この記事では、外注費を支払う会社や個人事業主の立場から、源泉徴収の計算方法と、請求書を確認するときのポイントをわかりやすく解説します。

1.個人事業主への外注費は、すべて源泉徴収が必要?

まず、「個人事業主に支払う外注費=源泉徴収が必要」というわけではありません。

源泉徴収が必要なのは、所得税法上、源泉徴収の対象として定められている報酬・料金等です。

代表的なものとして、次のような報酬があります。

  • 原稿料・ライターへの報酬
  • 講演料
  • デザイン料
  • 写真撮影の報酬
  • 作曲・編曲の報酬
  • 弁護士・税理士・公認会計士など一定の士業への報酬
  • 芸能関係の報酬

一方、個人事業主に外注したというだけで、すべての外注費から源泉徴収するわけではありません。

外注費を支払うときは、まず、

① その報酬が源泉徴収の対象なのか、② 対象なら源泉所得税はいくらなのか

という順番で確認することが大切です。

2.源泉所得税は消費税込み・税抜きのどちらで計算する?

ここが実務で迷いやすいポイントです。

原則として、源泉徴収の対象となる報酬は、消費税等を含めた金額が源泉徴収の対象となります。

ただし、請求書などで「報酬額」と「消費税額」が明確に区分されている場合は、消費税額を除いた報酬額を基準に源泉徴収して差し支えありません。

例えば、次の請求書の場合

内容 金額
原稿料 100,000円
消費税 10,000円
請求額 110,000円

原稿料と消費税が明確に区分されています。

そのため、100,000円を基準に源泉徴収できます。

100,000円 × 10.21% = 10,210円

したがって、実際の振込額は、

110,000円 − 10,210円 = 99,790円

となります。

消費税額が区分されていない場合

例えば請求書に、

「原稿制作費 110,000円」

とだけ記載されている場合は注意が必要です。

消費税額が明確に区分されていないため、原則として110,000円全額を源泉徴収の対象として計算します。

110,000円 × 10.21% = 11,231円

実際の振込額は、

110,000円 − 11,231円 = 98,769円

です。

つまり、同じ110,000円の請求でも、請求書上の消費税の表示方法によって源泉徴収税額が変わる場合があります。

3.100万円を超える報酬は税率に注意

原稿料、デザイン料、講演料、弁護士・税理士等への報酬などでは、源泉徴収の対象となる金額が100万円を超える場合、超えた部分の税率が変わります。

  • 100万円以下の部分:10.21%
  • 100万円を超える部分:20.42%

例えば、原稿料が150万円の場合、

100万円 × 10.21% = 102,100円

50万円 × 20.42% = 102,100円

となり、源泉所得税は合計204,200円です。

高額な講演料やデザイン料などを支払う場合は、10.21%を一律に掛けないよう注意しましょう。

4.士業への報酬は、相手によって計算方法が違う

「士業への報酬」といっても、すべて同じ計算方法ではありません。

弁護士、税理士、公認会計士などへの報酬は、原稿料などと同様に、100万円以下の部分は10.21%、100万円を超える部分は20.42%です(出典:国税庁「No.2798 弁護士や税理士等に支払う報酬・料金」)。

一方、司法書士、土地家屋調査士、海事代理士などへの報酬は計算方法が異なります。

これらの報酬は、原則として1回の支払金額から1万円を差し引いた金額に10.21%を乗じます(出典:国税庁「No.2801 司法書士等に支払う報酬・料金」)。

例えば、司法書士への報酬が50,000円の場合、

(50,000円 − 10,000円)× 10.21% = 4,084円

となります。

このように、外注先の職種によって計算方法が異なるため、「士業だから10.21%」と一律に考えないことが重要です。

5.請求書に書かれた源泉所得税が間違っていたら?

ここは、会社や個人事業主の方にぜひ知っておいていただきたいポイントです。

請求書に記載された源泉所得税額が、そのまま正しいとは限りません。

そして、相手が源泉所得税を間違えて計算していたとしても、支払者側の源泉徴収義務がなくなるわけではありません。

源泉徴収の義務を負うのは、原則として報酬を支払う側だからです。

本来より少なく計算されていた場合

例えば、本来の源泉所得税が10,210円なのに、請求書には9,000円と記載されていたとします。

この場合、

「請求書に9,000円と書いてあるから、9,000円だけ源泉徴収する」

という処理ではなく、支払者側で正しい源泉所得税額を確認する必要があります。

本来10,210円を徴収すべきであれば、10,210円を源泉徴収します。

つまり、

「請求書の計算が間違っていた=支払者は責任を負わない」

とはなりません。

逆に、多く計算されていた場合

反対に、本来10,210円なのに請求書に12,000円と記載されているケースもあります。

この場合も、請求書どおり12,000円を処理するのではなく、法律上の計算方法に基づいて本来の源泉徴収税額を確認することが重要です。

源泉徴収税額は、発注者と受注者が自由に決めるものではありません。

6.「請求書どおりに振り込めばいい」は危険

実務では、フリーランス側が請求書を作成するため、

「源泉所得税も相手が計算してくれるだろう」

と考えてしまいがちです。

しかし、会社側としては、請求書を受け取った時点で最低限の確認をしておくことをおすすめします。

確認するポイントは次の4つです。

  • その報酬は源泉徴収の対象か
  • 源泉徴収の税率は正しいか
  • 消費税を含めて計算するのか、除いて計算できるのか
  • 請求書に記載された源泉所得税額は正しいか

特に、源泉徴収の対象となる外注費を毎月何件も支払っている会社では、チェックルールを決めておくと安心です。

7.インボイス登録事業者なら源泉徴収は不要?

これもよくある誤解です。

インボイス制度と源泉徴収制度は別の制度です。

そのため、

「相手がインボイス登録事業者だから源泉徴収は不要」

とはなりません。

逆に、相手が免税事業者であっても、源泉徴収の対象となる報酬であれば、源泉徴収の要否を別途判断する必要があります。

インボイスの登録状況と源泉徴収の要否は、切り分けて考えましょう。

8.外注費の源泉徴収でよくある間違い

外注費の源泉徴収では、次のようなミスがよくあります。

よくある間違い 正しい考え方
個人事業主ならすべて源泉徴収 業務内容によって判断する
法人への外注費も源泉徴収する 通常の法人への外注費は原則として対象外
インボイス登録事業者なら源泉徴収不要 インボイスと源泉徴収は別制度
請求書の源泉所得税をそのまま使う 支払者側でも確認する
消費税を支払っているから源泉徴収しない 消費税と源泉徴収は別に判断する
100万円を超えても10.21% 100万円超の部分は20.42%
士業はすべて同じ計算方法 司法書士等には別の計算方法がある

9.外注費を支払うときのチェックポイント

最後に、実務で確認したいポイントをまとめます。

項目 確認すること
相手 個人・法人のどちらか
業務内容 源泉徴収の対象となる報酬か
報酬額 100万円を超えていないか
消費税 報酬と消費税が明確に区分されているか
税率 10.21%・20.42%等の適用が正しいか
請求書 記載された源泉所得税額が正しいか
納付 源泉所得税を期限までに納付しているか

特に重要なのは、「請求書に書いてある源泉所得税=正しい金額」と決めつけないことです。

まとめ|源泉徴収は「請求書どおり」で終わらせない

外注費の源泉徴収では、単に請求書を見て振込額を計算するだけではなく、支払者側でも源泉徴収の要否と金額を確認することが重要です。

ポイントをまとめると、

  • 個人事業主への外注費がすべて源泉徴収の対象になるわけではない
  • まず仕事内容から源泉徴収の対象となる報酬か確認する
  • 原則として消費税込みの金額が源泉徴収の対象となる
  • 報酬額と消費税額が明確に区分されていれば、消費税額を除いて計算できる
  • 100万円を超える部分は20.42%で計算する
  • 司法書士等への報酬には別の計算方法がある
  • インボイスの登録状況と源泉徴収の要否は別問題
  • 請求書に記載された源泉所得税額が間違っていても、支払者側の源泉徴収義務がなくなるわけではない
  • 支払者側でも源泉所得税額を確認することが大切

特に会社経営者の方は、

「請求書に書いてあるから、そのまま振り込めば大丈夫」

と考えず、源泉徴収の対象となる外注費については、支払う側でも計算を確認することをおすすめします。

源泉徴収の対象になるか判断が難しい場合や、過去の外注費について源泉徴収の処理に不安がある場合は、税理士に確認すると安心です。

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出典

※源泉徴収の対象となる報酬や税率、消費税の取扱いは、報酬の内容や契約関係などによって異なる場合があります。実際の取引については、最新の法令・国税庁の情報をご確認ください。

▼船橋市・市川市周辺で税理士変更をご検討の方は、お気軽にお問い合わせください。

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※免責事項
本コラムは、税務・会計に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、
個別具体的な事情に基づく税務判断や申告を保証するものではありません。
税務の取扱いは、事業内容や取引実態、過去の経緯等によって異なる場合があります。
実際の対応については、必ず専門家にご相談のうえ、ご判断ください。
本コラムの内容を利用したことにより生じた結果について、
当事務所は責任を負いかねますのでご了承ください。
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