「税理士なのに、自分の融資は不安だった」
顧問先には融資の相談に乗る立場である税理士自身も、独立当初は同じ不安を抱えていました。
「独立したばかりで、まだ売上が安定していない」「軌道に乗るまでの資金繰りは大丈夫か」——独立・開業した方なら、一度は感じたことがあるのではないでしょうか。
税理士という、大きな設備投資を伴わない職業であっても、創業融資を受けた実際の体験を、千葉県船橋市で税理士事務所を営む立場から、実務的な視点も交えてご紹介します。
借入の目的:創業期の資金繰りを安定させるため
今回の借入は、事業拡大のための大きな投資ではなく、創業期特有の資金繰りを安定させるためのものでした。
創業直後は、事業と生活が一体になりやすく、売上が軌道に乗るまでの期間、手元資金に余裕を持たせておくことは経営判断として重要です。顧問先から同様の相談を受けることは多々ありましたが、自分自身が同じ立場になって、その必要性をより実感として理解できました。
金融機関選びのポイント:既存の取引実績
融資を申し込む金融機関を選ぶ際、意識したのは「既に取引実績がある金融機関」だったことです。今回は、住宅ローンで取引のあった地銀に申し込みました。
これは銀行関係者の方にとっては当たり前のことかもしれませんが、住宅ローンなどですでに取引があり、返済実績が積み上がっている金融機関は、初めて取引する金融機関に比べて相談がスムーズに進みやすい、という印象を持ちました。金融機関側からすると、申込者の返済状況や取引履歴をすでに把握できていることが、一定の安心材料になっているのではないかと考えられます。
創業融資を検討する際は、新規の金融機関を一から探すよりも、まず自分がすでに取引のある金融機関(住宅ローンなど)に相談してみるのも一つの選択肢だと思います。
実際に提出した書類
銀行に提出した書類は、以下の通りです。
- 契約書、請求書(実際に事業を営んでいることの確認資料)
- 個人事業の開業届
- 許可証の写し(税理士の場合は税理士登録証)
- 事業計画書(千葉県信用保証協会所定の「創業計画書」フォーマット)
- 通帳(事業用及び個人通帳)
- 申告書3期分
- 印鑑証明
- 免許証(写し)
- 経歴書
- 家系図
- 納税証明書(税務署分・県税事務所分の両方)
このうち、意外に感じる方が多いのが「10. 家系図」ではないでしょうか。融資審査というと、事業計画書(創業計画書)や試算表といった「数字の書類」を想像しがちですが、実際には経歴書や家系図のような、申込者本人の背景を示す書類も求められます。
これは、金融機関・信用保証協会が「事業の数字」だけでなく「申込者本人の信頼性・継続性」も含めて総合的に判断していることの表れだと考えられます。
信用保証協会との面談
書類提出だけでなく、千葉県信用保証協会の担当者との面談も行われました。面談では、主に以下のような点を確認されました。
- 事業計画の具体的な内容
- 開業に至った経緯・目的
- 今後の事業の見通し
書類に書いた内容を、自分の言葉であらためて説明できるかどうかが問われる場だったという印象です。事業計画書(創業計画書)に記載した内容と、面談での受け答えに一貫性を持たせることが重要だと感じました。
書類準備で気をつけたいポイント
事業計画書(創業計画書)
千葉県信用保証協会の所定フォーマットである「創業計画書」を使用しました。記載する主な項目は以下の通りです。
- 開業の動機・目的
- 経営者の知識・技術・ノウハウ(これまでの実務経験)
- 今後の事業計画・見通し
税理士事務所という事業の特性上、大きな設備投資は必要ありませんが、「今後どのように収益を安定させていくか」という見通しを、数字とともに具体的に示すことを意識しました。設備投資を抑えられる分、固定費を抑えた堅実な経営計画として説明できたことは、むしろプラスに働いたと感じています。
申告書3期分
今回提出したのは、独立前(会社員時代)の3期分の申告書でした。創業したばかりで事業としての申告実績がなくても、独立前の所得・納税状況を示すことで、安定した収入があったことや、これまでの経済状況を確認してもらう材料になったと考えられます。
通帳
事業用の通帳に加え、個人メインバンクの通帳を提出し、事業を営むにあたって十分な自己資金があるかを確認されました。創業融資では、自己資金の有無・厚みが審査上重視される要素の一つです。日頃の入出金履歴から、生活実態や資金管理の状況も見られていると考えられます。
納税証明書
納税証明書は、税務署発行分だけでなく、県税事務所発行分も別途必要でした。国税(所得税・消費税など)と地方税(事業税・住民税など)は発行元が異なるため、どちらか一方だけを準備して慌てないよう、事前に両方を確認しておくことをおすすめします。
経歴書
「なぜこの事業をやるのか」「これまでどのような実務経験を積んできたか」を明確に伝える書類です。プライム市場上場企業での経理管理職経験や、税理士法人でのマネージャー経験など、事業の信頼性につながる経歴は具体的に記載しました。
また、家族構成として、妻・子どもに加え、自分の両親・妻の両親についても記載しました。経歴書は本人の実務経歴だけでなく、家族状況を含めた身元確認の意味合いも持つ書類だと感じました。
審査を通じて感じたこと
顧問先の融資をサポートする立場として、これまで「書類をそろえてください」とお伝えすることは何度もありました。会社員時代から、顧客の融資相談を受けた経験も少なくありません。
しかし実際に自分自身が申込者側に立ってみると、書類準備の手間だけでなく、審査を待つ間の心理的なプレッシャーや、面談で自分の言葉で事業を語ることの緊張感を、身をもって実感しました。知識として知っていることと、実際に経験することの間には、想像以上の差がありました。
融資相談に乗る際、社長がどのような気持ちでその場に立っているのか——本当の意味で寄り添えるようになったのは、この経験があったからこそだと感じています。 今後顧問先の融資サポートをする際にも、この経験は確実に活きていくと思います。
まとめ
創業融資は、事業計画書や数字の書類だけでなく、申込者本人の背景を示す書類まで幅広く求められます。「何を準備すればいいか分からない」という不安は、独立・開業する方なら誰もが通る道です。
船橋市で創業融資をご検討の方、書類準備でお困りの方は、実際に自身も融資を経験した税理士として、具体的にサポートいたします。
創業融資のご相談、事業計画書の作成支援も承っております。お気軽にお問い合わせください。

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